リンデンブロッサムアブソリュート エッセンシャルオイル
【精油の云われ】
リンデンは冬菩提樹とよばれるシナノキ科の樹木で、インドの菩提樹(Ficus religiosa クワ科)とは異なる樹木です。 インドの菩提樹は東洋で云わずと知れた聖木ですが、こちらのリンデンブロッサムは西洋版の菩提樹とも解釈できるほど古から神聖視されてきた樹木です。 古代のヨーロッパでは菩提樹は友情と忠実さの象徴だったので、この木を切ることは大罪でした。 ケルトの占星術では、菩提樹は利他主義を象徴していたそうです。キリスト教以前のゲルマン神話では、リンデンツリーが生命の守護者であり、幸運、豊饒、愛、真実の女神であるフレイヤと関係があったため、象徴的な聖木であったと云われています。 伝説では、フレイヤはドイツのパンテオンの最も重要な神であるウォタンの妻だったので、菩提樹は稲妻に打たれることがなかったとされています。 古代ローマの神話では、リンデンの木は夫婦の夫婦間の愛と忠実さの象徴であり、 同時にヴィーナス(愛の女神)とジュノナ(知恵の女神)の木でもありました。
ギリシャ神話では、“王神ゼウスと妻ヘラが、旅先で、貧しい人間の老夫婦の心を尽くしたもてなしに感嘆します。 褒美を与えようとすると、夫婦は「死後もお互いが離れ離れにならないようにしてください」と願いました。 ゼウスは夫フィレモンを樫の木に、妻バウキスをリンデンに変えて、2本の樹がずっと寄り添っていくようにしました。 ”ヨーロッパではこの話が広く知られ、リンデンは「夫婦の絆」や「幸せな結婚」の象徴という意味を持つようになりました。 そして、シンプルさ、無垢、そして優しさの象徴でした。 またその花の香りが素晴らしいことで、リンデンの木はギリシャ神話の神聖な木になったと云われています。
二千年前に住んでいたドイツの部族は、菩提樹を平和と正義の木と見なしていました。 部族の判断は菩提樹の下で行われました。 リンデンの花が咲く季節には、人々は木を踊りや音楽で愛し、祝わったと云われます。 古いリンデンの木は、人々の間の正義と平和を取り戻すための儀式が行われた中心的な場所でした。 キリスト教が現れた後でも、啓蒙の期間まで「ティリアの下」(リンデンの木の下)で判決が下されました。 中世の西ヨーロッパでは、リンデンの木が教会の近くに植えられました。 ポーランドの民間伝承では、家の前に植えられた菩提樹が家族を悪霊や稲妻から守るとされ、一部の地域では、菩提樹の下で行われる祈りが神様に聞かれやすいと考えられているようです。 そのほかスロバキア、スロベニア、チェコ共和国の国章と関わりがあるなど、伝承や伝説は数多く、ヨーロッパのあらゆる地域で神話の時代から神聖な樹木として大切にされてきたことがわかります。
こちらの精油(リンデンブロッサムの花の香り)は、金木犀やジャスミンを思わせるモクセイ科の花の香りに近く、濃厚でありながら特徴的で素晴らしい香りがします。 精油の色は緑みが強く、透明で精油の中でも珍しい色となっています。 アブソリュートですのでやや粘性はありますが、ドロップでの芳香にはそこまで支障はない程度で、頻度を多く使用する場合もストレスフリーです。 ヨーロッパの神話に思いをはせながらリンデンブロッサムの素晴らしい香りに愛と平和と正義をぜひ感じてみてください。
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